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小笠原流とは

礼法

一般に小笠原流というと堅苦しい礼儀作法の流儀だと理解されているようですが、実際は礼法・歩射・騎射が一体となった全人格修養です。

礼儀作法は小笠原流の一部分に過ぎませんし、決して無意味に格式張ったものではありません。形式主義を廃した美しい動作ゆえ、小笠原流は「行動の教養」とも称されます。

礼法とは言うまでもなく礼儀作法です。小笠原流は武家の礼法です。煩雑で窮屈な“作法のための作法”ではなく、無駄のない合理的な動作を稽古で身につけます。稽古の基本は立つ・坐る・歩く・お辞儀をする・物を持つ・廻るの六つです。その極意は「当たり前のことが当たり前に出来ること」です。

歩射とは弓術です。礼法で鍛えた無駄のない身のこなしと正しい姿勢(基本体)があって初めて弓の技が身につきます。一般的な弓道に対して小笠原流は古流弓術と呼ばれ、現存する体系的な武術・武道では最も古い流派の一つです。鎌倉時代より一子相伝で連綿と続くという意味では、我が国最古の古武術流派と言っても良いでしょう。

騎射とは弓馬術です。つまり馬上で弓を射る技です。全速力で疾走する馬上から鏑矢を射る流鏑馬が有名ですが、その他に笠懸、犬追物と合わせて騎射三物と呼びます。古来武士の道を「弓馬の道」と呼びますが、馬に乗れる者が本物の武士であり、その正式な武器は弓であったのです。

流鏑馬

武士同士の戦いは一騎打ちです。正々堂々と一対一で向かい合った武士が、弓を手に真正面から馬で駆け寄り、すれ違いざまに矢を放ち合うのです。高度な馬術と弓術が要求され、一瞬で生死を分かちます。この過酷な弓馬の道こそ本来の武士道に違いありません。武士道とは綺麗事ではなく、威儀を正した命のやり取りそのものなのでしょう。

我が国の芸道では真行草という言葉を良く用います。真・行・草とは、基本・応用・自在の境地の意です。書なら楷書・行書・草書です。小笠原流の礼法・歩射・騎射も真・行・草の関係にあります。礼法は基本。歩射は応用。そして修行を積んで自在の境地に至った者が騎射を修めると言われています。

※詳細は小笠原流公式Webサイトをご参照下さい。